過去の受賞作品

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  • 過去の受賞作品 第十六回 

伊藤園 お~いお茶新俳句大賞

審査員賞

阿川佐和子選

初もうで列かきわけてく父はカイジュウ

神奈川県 泥 雪恵 12歳

現代のお父さんはすっかりひ弱になり、家族のなかで怯えている姿ばかりが目につくが、この句に登場する「父」は逞しく、そしてユーモラスである。そんな父親の一面を見出す子供の気持ちが、読んでいてうれしくなる。

浅井愼平選

桃の実のなかの極楽浄土かな

北海道 柳澤 美晴 26歳

世界はマクロとミクロで成り立っています。そして面白いことにミクロにもまたマクロはあったりするのです。作者は桃の実の中に宇宙を見つけました。

いとうせいこう選

きもだめしとりあえず「キャー」と言っておく

千葉県 醍醐 里奈 10歳

「キャー」くらい言っておいた方がかわいらしいし、おどかしてくれている人への気遣いもあるし。そういう社会的な体面と、自分へのユーモラスな視線が上手に混ざり合っていて、思わずにやりとしました。

金子兜太選

運動会転ぶ姿も絶賛し

長野県 佐藤 洋一 41歳

運動会を使った俳句は多いが、転ぶ姿を絶賛する俳句というのは珍しい。愛嬌があってよろこばしい。

津根元潮選

元旦は家が一番きれいな日

東京都 瀬戸 萌未 16歳

一番きれいな日は正月元旦、大掃除も終って気持ちまでもが一番新鮮な日だ。

森澄雄選

風邪ひいて時計の音が響く部屋

東京都 烏山 栞 13歳

風邪ひいて時計のある一室に心静かに寝ている。時計の音だけがコチコチと心に響いている思いがする。風邪ひいて一人寝の心を的確に表現した秀れた一句だ。中学生の正直で素直な作品に感銘した。

吉行和子選

冬限定美しかった僕の町

福島県 蛭田 浩章 18歳

青年期に突入しようとしている瑞々しさを感じました。思い出とはなってしまっていない、まだ身体の中に残っている美しい町。これからの第一歩が楽しみです。

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