過去の受賞作品

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  • 過去の受賞作品 第二十九回 

伊藤園 お~いお茶新俳句大賞

審査員賞

黒田杏子選

茶を飲んで祖父とながめる雪の空

鹿児島県 池江 観伍 12歳

12歳の池江観伍君。おじいさまと雪の空を眺める。お茶を頂いて。とても幸せな感じです。心が洗われなごみます。

村治佳織選

仏法僧青空探し旅に出る

神奈川県 三井 那奈 13歳

私が中学生のとき、このような名を持つ鳥がいるとは知りませんでした。俳句は世界を広げてくれますね。青空探して飛び行く仏法僧にご自身の心情も一部重ねていらっしゃるのかなと感じました。青空のみならず時には曇り空もあるかもしれませんが、色々な空を楽しまれて学生生活を過ごされますように。

金田一秀穂選

りんごと恋同じ原理でおちてゆく

岡山県 抽井 智加 14歳

不可抗力で仕方がないんだよなあという嘆声が聞こえてくるような、戸惑いや愉しさや安心感でもある、醒めた女子中学生の冷静な観察眼がたいへん魅力的です。

吉行和子選

いちご食べすっぱい過去を甘くする

大阪府 河野 莉奈 15歳

十五歳の河野莉奈さんのすっぱい過去とは何だったのでしょう。興味がわきました。でももう乗り切っていて、すばらしいです。これから、もっと、辛かったり、痛かったり、沢山あるでしょうが、乗り切って、楽しく過して下さいね。

いとうせいこう選

おい新芽さっきチラチラ見てただろ

茨城県 遠藤 竜馬 18歳

新芽の季節、生命は刻々と育つ。そして不思議な形でねじれたり伸びたりする。それが視線のようになってこちらを見ていた気がする。見られた側の人間の自意識が育っているからでもある。どちらも若いがゆえの出来事。

浅井愼平選

手ぶれしたフィルムに写る春一番

山梨県 萩原 勇太 34歳

写真に撮った風の仕業を詠んだ俳句をぼくははじめて知った。楽しい、面白い、嬉しいなど、ちょっと複雑な思いで選んだ。何でもないようで強く記憶に残った。

宮部みゆき選

もんじゃ焼きじゅげむじゅげむと焦げている

青森県 麻倉 遥 35歳

もんじゃ焼きはわざと焦げるように焼いて、その「おこげ」を味わいます。私の生まれ育った東京の下町では子供のおやつでしたが、こんなありがたい音をたてて焦げていたのかと、目からうろこの一句でした。

安西篤選

温暖化スルメどこまで旅をする

神奈川県 長嶋 季伸 63歳

この句の「スルメ」は、干物になる前の、生きている鰑烏賊のこと。南方から北上して来るスルメは、近頃の温暖化に伴って、北への旅をどんどん伸ばしているようです。今年はどこまで旅を伸ばすのだろう。旅の楽しみと冒険の心の弾みが伝わってきます。ちょっぴり批評の味もしのばせながら。

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